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たまには真面目なSMの話(SMにおける拘束について)

「SMと拘束」についてとある掲示板で議論がありました。
SMとは何であろうか、ということを考える上で良い機会だと思いますので、私が考える「SMと拘束」について考察してみたいと思います。

1.SMとは
・サディズムとマゾヒズムの略ですね。サディズムは加虐、マゾヒズムは被虐なので、簡単に言うと虐めて悦ぶ性癖、虐められて悦ぶ性癖という意味です。
・主従関係は、近年ではDSと呼ばれることが多いです。理屈上は加虐・被虐性癖が介在しないDS関係があっても、おかしくはないため、SMとDSは同じものではありません。ただし、SMという概念が中世ヨーロッパであることを考えてみると、実際にはSMとDSは極めて深い関係性があり、現代ではかなり近いベクトルで語られていることが多いように感じられます。

2.SMと拘束・非拘束
・元々、SMと拘束は別のものです。そもそもSMは性癖・趣味嗜好であり、拘束は一つの手段です。実際に、拘束と伴わないSMプレイとして、例えば、非拘束での打擲(ムチ打ち)などが挙げられます。
・このため正確には、拘束を伴うSMは、「ボンデージ(bondage)SM=BDSM」という1ジャンルと捉えることができます。
・拘束具としては、実際の機能制限を行うもの(手錠、手枷・足枷、アームバインダー、ボンデージバー、アイマスクなど)、機能制限を行わないもの(コルセット、目口開きの全頭マスク、チョーカーなど)が挙げられます。同じ拘束具でも両方に使えるものもあります。拘束といいながら、実際には拘束機能を持たないものがあるか、というところが、SMにおける精神性を象徴しています。
・本質に立ち返ってみると、ほとんどの場合、「相手の意思を奪う拘束」という本質的なものは犯罪であり、SMにおいて行われるのは「合意の上での拘束」であり、言い換えるとり「拘束」のロールプレイです。これらのことから、現代において「SMにおける拘束」は、性癖を満足させる様式美としての側面が強いものと、私は考えます。
現代においては、拘束はようしき
・拘束を伴わないSMプレイは根深く、カトリックの苦行(自分で鞭打ちなどをするもの)あたりでは、既にマゾヒストの自慰的側面が存在していたことが伺えます。この自擲(自分でのムチ打ち)は現代に至るまで、特にキリスト教圏のマゾヒストの欲望の発露として役割があるようですので興味がある方は調べてみて下さい。ただし宗教と絡めるとかなり背徳的な行為となるため、ネット情報より書籍情報の方が詳しいかもしれません。

3.SMと緊縛
・緊縛とは「縄等でしっかりと縛る」という意味です。
・2で述べた通りですが、緊縛というのは世界的にみるとかなり特殊な分野と考えられます。おそらく日本で拘束が極めて先鋭的にローカライズしたものとみるのが正しいでしょう。実際、「SM」と「拘束(restraint)」で検索をかけると、「縛らない」拘束具の方が遥かに多いことが分かります。
・なぜ日本で「緊縛」が拘束の手段として大きな位置を占めたのかと言うと、江戸自体の「刑罰術」、「捕縛術」、さらに遡ると戦国時代の武術であるの「小具足術」あたりの技術体系があったこと大きいと考えられます。また、もう一つは「緊縛美」という芸術的な価値が、国民性と合致したことが大きいのではないでしょうか。
・かつて、SM系の雑誌としては「SMファン」「S&Mコレクター」「SMセレクト」「奇譚クラブ」などがあり、売りとして緊縛写真が掲載されていたことも、日本における「緊縛とSM」の強い関係性に影響したものと考えます。
・一方で、当時と比べて、日本における「SMとしての緊縛文化」は弱くなってきていると実感しています。これは、「日常を重視した、ライトなSM」が、ある程度の市民権を得て普及したためと考えます。すなわちこれら市民権に得たライトSMでは、本格的な緊縛は肌に跡を残すため日常への影響が出やすいこと、緊縛プレイの一環としてメジャーな「吊り」「蝋燭」が一般的なホテルでは実施困難である、ということが挙げられます。
・また他方で、SMとは距離をおいた緊縛も出現し始めています。いわゆる芸術表現としてもので、代表的なのがレディ・ガガの緊縛写真です(「VOGUE HOMMES JAPAN Vol.3」収載)。実際に見ればわかりますが、拘束的意味合いはあっても、SM的意味合いは希薄です。むしろ緊縛を通して彼女の「強さ」を表現しているようにも私には感じられます。

4.余談:SとMの自慰的側面
・「自らの身体を用いた加虐・被虐」での自慰としては、マゾヒストの方が広い選択肢があります。すなわちマゾヒストは自分さえいれば様々な方法で「自虐という被虐」を実践することが可能ですが、サディストは相手が居なければ「加虐」が成り立ち難いのです。
・ただし、「自虐」という行為が、「被虐」の発露なのか、「加虐」の発露なのかは、かなり微妙です。つまり「虐めてくれる人がいないから、自虐するマゾヒスト」なのか、「虐める相手がいないから、自虐するサディスト」なのかは、行為だけみると分かりにくいのです。場合によっては両方が同時に生じている場合すらありえます。
・ただ、実際にSNS等で検索してみると、前者の方が遥かに多いため、やはり「自虐」の傾向はマゾヒスト側に寄っていると見た方が妥当だと思います。

5.私の考え方
・上記のように、SMを研究的に議論するのは悪くありませんが、私がSMを続けているのは単に本能的なものです。つまり、マゾ女性の「解放」を見てみたい、という欲望です。そのために、当然相手の性癖にベクトルを修正することもします。ただ、私の性癖にも限界があり、あまりに汚い行為や、身体に傷を付ける行為などは、できませんし、逆に、快感・快楽系などはとても好みです
・他の方のSM行為については、当事者同士が満足している限り、それを否定することは一切しません。SMとは十人十色どころか、パートナーの数、プレイの数だけ存在して良いという考え方があるからです。

6.最後に
色々書いてきましたが、たまには真面目(!?)な話も良いかと思いましたので、記事にさせていただきました。
次回からは、また元の方向性に戻しますので、引き続きご愛読下さい。

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